小さい頃、気象に興味をもったことがきっかけで、気体や液体の流れを研究する「流体力学」を大学で専攻(せんこう)しました。それを活かせる風力発電の仕事がしたいと探していたら、石川県にあるって人から聞いたんです。
僕が取組んでいる開発テーマは弱い風でも効率的に発電し、台風にも耐え、静かでデザイン性、安全性に優れた風力発電機を造ること。
風切り音を軽減し、よく回転する羽根の最適な大きさや形状を考えたり、小さくても高い出力を発揮する発電装置とどう組み合わせるか、デザインや設置も含めトータルな技術が求められます。電気、機械、土木、環境などの知識も必要ですね。
カラダにいい発酵(はっこう)食品というと、納豆やヨーグルトを思い浮かべると思いますが、日本の伝統食、味噌、糠、麹(こうじ)も日本人が昔から食べていた発酵食品なんです。
なかでも珍しいふぐの卵巣の糠漬けは、石川県の美川地区だけにその製法が伝わる、世界一珍しい奇跡の商品。今注目されている、究極のスローフードです。だから夢が広がります。
しかし、製造している我々はだいぶ高齢化していまいました。期待しているのは既成(きせい)概念(がいねん)にとらわれない、若い人たちの新しいアイデア。現代の生活スタイルにうまくマッチする糠漬けの可能性をもっと追究していきたいですね。
ペットボトル飲料などの液体を自動的に容器に充填(じゅうてん)する機械を設計しています。
液体はいろんな種類があって、コーラのような炭酸水から、果実入りのジュース、ゴマや野菜のはいったドレッシングなど、用途(ようと)に応じた機械設計が求められます。
私が設計したのは主に炭酸飲料水の充填システム。注ぐスピードが早すぎると泡をふいてしまうし、遅いと充填バルブの数が増えて、コストがかかってしまいます。
何十回も試行(しこう)錯誤(さくご)をくりかえし、最適な弁の開き具合や液体の流れを決めます。そうして完成したシステムは、1分間に750本の炭酸水の充填を可能にしました。
地元でも、世界で勝負しているメーカーというのが魅力でした。
私は、イメージスキャナの読み取りを行うユニットの開発に携(たずさ)わっています。従来の性能を保ちながら、どれだけ省スペース(小型)化、高速化できるかというテーマに取り組み、従来機に比べ30%小型化に成功したこともあります。
装置に組み込むレンズやミラーも全て新規に開発したというのは初めてだったので、完成したときは嬉(うれ)しかったですね。東京秋(あき)葉原(はばら)に行った時、客のふりをして店員さんに聞くんです。「この商品どうですか?」って。「けっこう売れてますよ」という答えが返ってくると、つい顔がほころんでしまいます。
観光バスとすれ違うたび、「あれはウチで造った○○観光のハイデッカー」「これは○○旅行社の…」ってつい言っちゃいます。助手席の妻は、「聞きあきた」って笑いますけどね。
僕が担当しているのは観光バスのシートや荷物棚、トイレやキャビネットなどの内装備品やリヤ窓ガラスを取りつけ完成させる工程です。
全長12メートルの大型観光バスの荷物棚は10メートル。取りつけるのは簡単ではありません。そんなやりづらい作業を簡単に、誰がやっても正確にできるよう工夫したり、モノづくりは自分で考える習慣がつきますね。
身につけた技術や知識は仕事以外でも使えるので、家族から重宝(ちょうほう)がられています(笑)。
豆腐の機械と言っても一つではなく、大豆を水に漬(つ)ける、豆乳をしぼる、固める、カットする…という具合に、各工程ごとにいろんな種類があります。
豆腐の作り方やこだわりも、豆腐屋さんによって様々。同じ機械は一台もありません。
納めた機械のメンテナンスに行くことがありますが、何年経っても自分が設計図を描いた機械がどうかすぐわかります。自分たちの造った機械が全国いろんな地域で稼働(かどう)し、人の役に立っているということが、とても誇りですね。
僕は豆腐が大好きで、ほぼ毎日冷やっこを食べていますが、ひと仕事終わったあとの豆腐はまた格別です。